日本語に主語はいらない
著者: 金谷武洋
出版社: 講談社(講談社選書メチエ)
Kunishiro の評価:
内容
久しぶりに目から鱗が落ちる本を読んだ。私はこれまで、「日本語では主語が省略されることが多い」と認識していた。しかし、この本の主張はそれまでの認識を根底からくつがえすような内容だった。日本語には主語という概念自体がないというのだ。ヨーロッパ系の言語では、主語と述語の両方がないと文章が成立しないのに対して、日本語は述語だけで文章が成立するという。
この本の主張は、非常に納得できる。そもそもの間違いは、英文法を基準に日本語の文法を体系化したことだ。このような現在の日本語の文法教育が根底から変われば、英語教育にも少なからず影響を与えると思われる。
もう 1 つ驚いたことがある。それは「は」という助詞の働きだ。著者は、「は」をスーパー助詞と呼び、ほかの助詞と比べて働きが各段に違うと説いている。これにも納得。野球にたとえるなら、4 番バッター兼エースピッチャーのようだ存在だ。ことばとは本当におもしろいものだ。
『日本語に主語はいらない』は、国語教師、英語教師、日本語教師、そして翻訳者にとって必読の 1 冊だと思う。
日本語に主語はいらない―百年の誤謬を正す (講談社選書メチエ) 講談社 2002-01 by G-Tools |
著者のサイト >> 金谷武洋の『日本語に主語はいらない』
>> 『日本語に主語はいらない』に関するほかの読者のレビューを見てみる
ツイート |
comments