コラム10: スタイルガイド
スタイルガイドとは、翻訳する際の表記方法、表現のルールを定めたものです。具体的には以下のような項目が定められます。
スタイルガイドで、たとえばカタカナ語の表記がどのように定められているのかを、以下に例を示しておきます。
(a) 英語の語尾が er、or、ar の場合
長音符号をつけない。
(例)
(例)
(例)
(例)
長音符号を付ける
(例)
長音符号を用いる。
(例)
(例)
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スタイルガイドを作成・採用することには、(エンドクライアントにとって)以下のようなメリットがあります。
外資系のソフトウェア会社のローカライズ以外で、エンドクライアントからスタイルガイドが支給されることはほとんどありません。Kunishiro は、特にスタイルの指定がない場合に使用する Kunishiro スタイルを定めて、それに従って翻訳を進めています。同じ翻訳者が書いた訳文でも、そのときの気分や案件によって、スタイルは変わってしまいがちです。自分用のスタイルルールを作成するまでは、Kunishiro も案件によってスタイルにばらつきがありました。ある案件では「ユーザ」、別の案件では「ユーザー」と表記するといった具合でした。しかし、自分のルールを決めてからは、このようなばらつきが大幅に少なくなりました。ルールを覚えるのは大変ですが、一度覚えてしまえば、表記や表現で迷うことがなくなり、かえって楽になります。また、同じクライアントからリピートオーダーがあった場合でも、前回納品した訳文との統一性が保てます。
自分のスタイルを決定するときに参考にしたのは、『わかりやすいマニュアルを作る 文章・用字用語ハンドブック テクニカルコミュニケーション研究会編(日経 BP 出版センター)』でした。翻訳に限らず、メーカーなどがこれを参考にマニュアルを作成すれば、わかりやすいマニュアルができるのではないかと思います。タイトルは、「わかりやすいマニュアルを作る」となっていますが、マニュアル以外の一般ビジネス文書にも適用できる「わかりやすい文章術」のガイドブックでもあります。翻訳者、マニュアル作成者必携の一冊だと思います。
カテゴリー: 6. 翻訳全般
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- 漢字とかなの使い分けルール
- 複合語の表記ルール
- 文体
- 引用符に関するルール
- カタカナ語の表記ルール
- 会社名、製品名の表記ルール
- おくりがなに関するルール
- 数字の表記ルール
- フォント
- 助詞の使い方
- 接続詞
- 助動詞の訳し方
- 能動態と受動態の訳し方
- 無生物主語の訳し方
スタイルガイドで、たとえばカタカナ語の表記がどのように定められているのかを、以下に例を示しておきます。
(a) 英語の語尾が er、or、ar の場合
長音符号をつけない。
(例)
- computer: コンピュータ
- processor: プロセッサ
- character: キャラクタ
- architecture: アーキテクチャ
- assembler: アセンブラ
(例)
- color: カラー
- error: エラー
- user: ユーザー
- monitor: モニター
- server: サーバー
(例)
- vector: ベクトル
- cursor: カーソル
(例)
- XX center: ○○センター
長音符号を付ける
(例)
- chart: チャート
- proof: プルーフ
- internet: インターネット
- pattern: パターン
長音符号を用いる。
(例)
- data: データ
- application: アプリケーション
- statement: ステートメント
- accelerator: アクセラレータ
(例)
- display: ディスプレイ
- array: アレイ
- tray: トレイ
- bay: ベイ
・
・
スタイルガイドを作成・採用することには、(エンドクライアントにとって)以下のようなメリットがあります。
- 1 つのプロジェクトを複数の翻訳者が手分けして翻訳する場合でも、文体、表記、表現が統一される。
- 翻訳者が変わっても、文体、表記、表現が統一される。
- 翻訳会社が変わっても、文体、表記、表現が統一される。
- 製品のバージョン間でのばらつきがなくなる。
外資系のソフトウェア会社のローカライズ以外で、エンドクライアントからスタイルガイドが支給されることはほとんどありません。Kunishiro は、特にスタイルの指定がない場合に使用する Kunishiro スタイルを定めて、それに従って翻訳を進めています。同じ翻訳者が書いた訳文でも、そのときの気分や案件によって、スタイルは変わってしまいがちです。自分用のスタイルルールを作成するまでは、Kunishiro も案件によってスタイルにばらつきがありました。ある案件では「ユーザ」、別の案件では「ユーザー」と表記するといった具合でした。しかし、自分のルールを決めてからは、このようなばらつきが大幅に少なくなりました。ルールを覚えるのは大変ですが、一度覚えてしまえば、表記や表現で迷うことがなくなり、かえって楽になります。また、同じクライアントからリピートオーダーがあった場合でも、前回納品した訳文との統一性が保てます。
自分のスタイルを決定するときに参考にしたのは、『わかりやすいマニュアルを作る 文章・用字用語ハンドブック テクニカルコミュニケーション研究会編(日経 BP 出版センター)』でした。翻訳に限らず、メーカーなどがこれを参考にマニュアルを作成すれば、わかりやすいマニュアルができるのではないかと思います。タイトルは、「わかりやすいマニュアルを作る」となっていますが、マニュアル以外の一般ビジネス文書にも適用できる「わかりやすい文章術」のガイドブックでもあります。翻訳者、マニュアル作成者必携の一冊だと思います。
カテゴリー: 6. 翻訳全般
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