メールを書くときは、自分の手間を最大に、相手の手間を最小に
ビジネスでは、メールを使った問い合わせや確認が日常的に行なわれています。翻訳においては、特定の用語や訳語の表記などについて、メールで問い合わせや確認を行なう必要が生じることがよくあります。その際、私がいつも心がけていることは、「自分の手間を最大にし、相手の手間を最小にする」ということです。
たとえば、ある単語を訳文でどのように表記すべきか確認したいとします。このとき、なるべく自分の手間が最小になるようなメールを書きがちになります。たとえば、こんな感じのメールです。
例 1: 自分の手間を最小にし、相手の手間を最大にするメール
○○ 様
○○ の表記については、どのように処理すればよろしいでしょうか。ご指示ください。
くにしろ
メールを受け取った相手は、処理方法について説明しなければならず、忙しいときなどは、なかなか返事がもらえないかもしれません。これは、相手の手間が最大になるメールです。それに対して、「自分の手間を最大にし、相手の手間を最小にする」メールとは、こんな感じのメールです。
例 2: 自分の手間を最大にし、相手の手間を最小にするメール
○○ 様
訳文における ○○ の表記については、一般的に以下の表記方法が考えられます。
(1) 英語のまま残す
(2) 適当な日本語に訳す
(3) 英語のまま残し、( )内に日本語訳を併記する
(4) 適当な日本語に訳し、( )内に英語を併記する
今回の文書では、(1) の表記が適切だと思われるため、(1) の表記で作業を進めます。この処理で問題がある場合は、適切な表記方法をご指示ください。
くにしろ
上記のメールでは、相手は「それで OK です」とか「(3) で」とか返事すればよいため、相手の手間は最小になります。また、こちらが提示した処理方法に問題がない場合、最悪返事をしなくても済みます。
また、例 1 のメールの場合は、返事が来るまで該当個所の処理を保留する必要があるのに対し、例 2 のメールでは、返事がない場合はこちらが提示した処理が承認されたと解釈できます。したがって、別の処理をする必要がある場合は、急いで返事をくれる傾向があります。時間がかなり経ってから別の処理を指示する場合は、相手もそれなりに恐縮してくれます。「自分の手間を最大にし、相手の手間を最小にする」メールの最大のメリットは、自分自身を守ることができるという点かもしれません。
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