未経験なのにどうしてやってみたいと思ったんですか?
今月 21 日は、私の翻訳者としての満 14 歳の誕生日です。初仕事を受注してから今月で丸 14 年になります。振り返ってみると、あっと言う間の 14 年でした。この前まで、「駆け出し」だと思っていたのに、よく 14 年も毎日毎日飽きもせず、やってきたものだと思います。
14 年前のタマゴ時代の話です。翻訳の勉強を始めて 5 カ月くらい経ったころでしょうか。そろそろトライアルに挑戦しようと思い、翻訳関連のムック本に記載されていた翻訳会社に片っ端から電話をしてみました。当時は、今みたいに Web で翻訳者の募集情報などが公開されているわけではなく、情報源としては、新聞の求人欄、通訳翻訳ジャーナル、翻訳に関する各種のムック本などの紙媒体が主体でした。
たいていの翻訳会社は応募条件として「経験 ○ 年以上」を挙げており、「未経験者可」というところはほぼ皆無でした。そんな中で、経験年数に関する要件を特に記載していない会社があったので、電話をしてみました。経験年数を聞かれたので、未経験であることを告げると、まるで私が非常識人間であるかのごとく、「未経験なのにどうしてやってみたいと思ったんですか?」と返されました。「あなた頭おかしいんじゃないですか」と言わんばかりの口調です。「どんなベテラン翻訳者でも、最初から経験者だったわけではないでしょう。未経験者はトライアルを受ける資格がないと言うのなら、それは仕方がないですが、そんな言い方ないでしょう」と言いたいところをぐっと我慢して、「失礼しました」と言って電話を切りました。
さすがに、「経験 15 年以上」などという応募条件を掲げている翻訳会社はないので、「経験 ○ 年以上」に悩まされることはなくなりましたが、今でも「未経験者可」という会社はほとんどありません。もちろん、経験はないよりもあったほうがいいのは当たり前だと思うのですが、未経験者は必ずしも経験者に劣るとは限らないと思います。「未経験者不可」としている翻訳会社が多いのは、未経験者にトライアルの応募資格を与えてしまうと、応募者が多くなりすぎて、「労多くして功少なし」になってしまうからでしょうか。
「未経験者」だったにもかかわらず、今こうやって翻訳の仕事をできている私は運がよかったのかもしれません。
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確か、新聞の求人欄で見つけた翻訳会社に応募したことがきっかけだったと思います。経験年数に関する記載が特になく、トライアル翻訳を提出したあとに、いきなり 150 枚くらいの大きな仕事(和訳)を依頼されました。トライアルで出題された英文の続きでした。
初めての英訳は初受注の半年後で、その後英訳の比率のほうが高くなりました。したがって、英訳力が評価されたということはなく、単にタイミングがよかっただけだと思います。
kunishiroさん、お世話になっています。
それで結局どのようにして仕事を開始されたのでしょうか。英訳ができる方は希少なので未経験者でも採用されることが多いと思いますが、やはりkunishiroさんの英訳力が力を発揮されたのでしょうか。
私自身は、それだけではなくkunishiroさんのお人柄から、翻訳会社も貴重な人材でいらっしゃることを見ぬいたという気もしています。
今後ともよろしくお願い申しあげます。