コラム22: レディーズのスペルは間違いだらけ
「女性向けの」という意味で使われる「レディーズ」(正しくは「レディース」ではなく、「レディーズ」です)という英単語。看板や案内など、街中でよく見かけますが、正しいスペルで書かれていることはめったにありません。
たとえば、女性用の衣服であれば、Ladies' wear が正しいスペルなのですが、街中では、以下のようなさまざまな間違ったスペルが使われています。
(1) Ladys wear
(2) Lady's wear
(3) Ladys' wear
(4) Ladies wear
(5) Ladie's wear
(6) Ladies's wear
レディーズのスペルに、これほどまで多彩なミスススペルがあるのは何故でしょうか。ポイントは 2 つあります。それは、複数形と所有格です。
まず、単数形か複数形かという問題があります。「レディーズ」という英単語(外来語)を音だけで聞いた場合、lady という単語に所有格を表す 's が付いているのか、それとも lady が複数形になっているのかよくわからないのではないでしょうか。「女性用の」という意味で使われる場合のレディーズは実は複数形です。通常、単語を複数形にする場合は、単純に s を付ければよいのですが、子音 + y で終わる単語は例外で、y を i に変えて es を付けます。したがって、lady の複数形は ladies となります。ほかの例を挙げると、country(国)の複数形は countries となります。ただし、母音 + y で終わる単語の場合は、単に s を付けるだけです。たとえば、boy の複数形は boys です。
レディーズが複数形だということはわかりました。ということは、上の (1) ~ (3)は単数形なので間違いです。次に、所有を表す 's が必要かどうかという問題があります。男性用のという意味のメンズは、men's と表記しますから、ladies も所有格にする必要があることがわかると思います。単数形の名詞の所有格を表すには、たとえば、Tom's desk(トムの机)、that child's name(その子どもの名前)といった具合に、単語にアポストロフィ(') + s を付加します。これについては、ほとんどの人が正しく理解していると思います。問題は、複数形の所有格はどのように表わすのかということです。複数形の場合はすでに単語が s で終わっています。所有格にするには、そのあとに単にアポストロフィ(')を付けるだけで OK です。したがって、ladies の所有格は ladies' となります。読み方は「レイディーズズ」ではなく、「レディーズ」です。音だけ聞けば、ladies と ladies' はまったく区別がつきません。ladies' に限らず、s で終わる複数形の単語の所有格はすべてこの形で表します。
Boys' school (ボーイズスクール: 男子校)
Girls' apparel (ガールズアパレル: 女の子用の衣料品)
ただし、children や men など、s で終わらない複数形の単語については、単数形の名詞の所有格と同じように、's を付けます。
Children's hospital (小児病院)
Men's cosmetics (男性用化粧品)
このように、men's は正しいスペルで書かれていることが多いのに対して、ladies' が間違って書かれることが多い理由は、複数形の作り方が例外であること、複数形の所有格の表し方が難しいという 2 つの要素が絡み合っているからでしょう。
それでは、「レディーズ」と聞こえる英語はすべて ladies' とスペルするのかというと、そうとも限りません。(2) の lady's が正しい場合もあります。たとえば、「あの女性の帽子」という場合は、that lady's hat となります。これは、女性全般ではなく、特定のひとりの女性を指しているので、単数形の所有格を使う必要があります。
カテゴリー: 4. 英語全般
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たとえば、女性用の衣服であれば、Ladies' wear が正しいスペルなのですが、街中では、以下のようなさまざまな間違ったスペルが使われています。
(1) Ladys wear
(2) Lady's wear
(3) Ladys' wear
(4) Ladies wear
(5) Ladie's wear
(6) Ladies's wear
レディーズのスペルに、これほどまで多彩なミスススペルがあるのは何故でしょうか。ポイントは 2 つあります。それは、複数形と所有格です。
まず、単数形か複数形かという問題があります。「レディーズ」という英単語(外来語)を音だけで聞いた場合、lady という単語に所有格を表す 's が付いているのか、それとも lady が複数形になっているのかよくわからないのではないでしょうか。「女性用の」という意味で使われる場合のレディーズは実は複数形です。通常、単語を複数形にする場合は、単純に s を付ければよいのですが、子音 + y で終わる単語は例外で、y を i に変えて es を付けます。したがって、lady の複数形は ladies となります。ほかの例を挙げると、country(国)の複数形は countries となります。ただし、母音 + y で終わる単語の場合は、単に s を付けるだけです。たとえば、boy の複数形は boys です。
レディーズが複数形だということはわかりました。ということは、上の (1) ~ (3)は単数形なので間違いです。次に、所有を表す 's が必要かどうかという問題があります。男性用のという意味のメンズは、men's と表記しますから、ladies も所有格にする必要があることがわかると思います。単数形の名詞の所有格を表すには、たとえば、Tom's desk(トムの机)、that child's name(その子どもの名前)といった具合に、単語にアポストロフィ(') + s を付加します。これについては、ほとんどの人が正しく理解していると思います。問題は、複数形の所有格はどのように表わすのかということです。複数形の場合はすでに単語が s で終わっています。所有格にするには、そのあとに単にアポストロフィ(')を付けるだけで OK です。したがって、ladies の所有格は ladies' となります。読み方は「レイディーズズ」ではなく、「レディーズ」です。音だけ聞けば、ladies と ladies' はまったく区別がつきません。ladies' に限らず、s で終わる複数形の単語の所有格はすべてこの形で表します。
Boys' school (ボーイズスクール: 男子校)
Girls' apparel (ガールズアパレル: 女の子用の衣料品)
ただし、children や men など、s で終わらない複数形の単語については、単数形の名詞の所有格と同じように、's を付けます。
Children's hospital (小児病院)
Men's cosmetics (男性用化粧品)
このように、men's は正しいスペルで書かれていることが多いのに対して、ladies' が間違って書かれることが多い理由は、複数形の作り方が例外であること、複数形の所有格の表し方が難しいという 2 つの要素が絡み合っているからでしょう。
それでは、「レディーズ」と聞こえる英語はすべて ladies' とスペルするのかというと、そうとも限りません。(2) の lady's が正しい場合もあります。たとえば、「あの女性の帽子」という場合は、that lady's hat となります。これは、女性全般ではなく、特定のひとりの女性を指しているので、単数形の所有格を使う必要があります。
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