コラム 37: 私の人生を変えたかもしれない本
自分の人生を変えた本があるかと聞かれたら、『20カ国語ペラペラ 』(種田 輝豊著、実業之日本社 1973)という本を挙げたいと思います(現在は絶版になっています)。この本と出会ったのは中学 3 年のときでした。
少年時代に英語をはじめとするさまざまな外国語に魅了され、次か次へと外国語をマスターし、ついに20カ国語ペラペラになった、種田 輝豊氏の語学マスターの方法と経緯を記録した本です。当時、すでに将来は英語を使って仕事がしたいと考えていた私は、夢中になってこの本を読みました。
種田さんに憧れた私は、種田さんの勉強法をそっくり真似ました。その 1 つが 500 例文暗記です。種田さんが使ったという『和文英訳の修行』という本を取り寄せ、その本の予備編に記載されていた 500 例文を徹底的に暗記しました。このとき覚えた 500 例文は、今でも半分くらいは暗誦できるほどです。重要な文法項目を網羅した 500 の例文を覚えたことによって、語彙が増え、さまざまな英語表現が身に付きました。この 500 例文暗記は私にとって大きな財産になりました(今でも十分通用する勉強法だと思います)。『和文英訳の修行』はぼろぼろになるまで使ったため、後年 2 冊目を購入することになりました。
種田さんがもう 1 つ重要視していたのが文法でした。そこで私は、これもまた種田さんが紹介していた小川芳雄先生の「よくわかる英文法」(小川芳雄著、旺文社)という高校生用の文法参考書を購入し、文法を徹底的に頭に叩き込みました。おかげで、私は中学 3 年の時点で高校 3 年間の英語の勉強をほぼ完了させていました。この本もぼろぼろになったため、後年 2 冊目を購入し今でも時々参照しています。
高校に入ると、種田さんに憧れるあまり、英語もろくにマスターしていないくせに、ドイツ語の勉強も開始しました。種田さんが、英語以外の科目の成績がさっぱりだったことにまで憧れ、英語以外の科目の勉強を放棄してしまいました。同級生からは「英語の鬼」と呼ばれたりしていました。また、担任の先生から、「英語とほかの科目の成績の差が激しすぎる」などと言われましたが、むしろそのことを誇りに思っていたほどです。
しかし、私の英語熱も高 1 の夏ごろまでしか続きませんでした。それでも、試験前になると英語の勉強だけは手を抜かなかったので、それなりの成績は収めていました。そんなこんなで遊びほうけている間にあっという間に高 3 になり、受験を迎えることになります。中 3 のときから、種田さんと同じ東京外国語大学に進学したいと思っていたのですが、私たちが受験する年から共通一時試験という制度がスタートしたのです。それまで英語以外の科目を放棄した私が、5 教科 7 科目の受験が求められる共通一時試験で高得点が期待できるはずがありません。
私は東京外国語大学の受験をあきらめ、私立大学の外国語学部を受験することにしました。ただし、国立大学への思いも捨てきれずに、大阪外国語学部のタイ・ベトナム語学科も受験しました(大阪外大には合格しましたが、最終的には私立大学の外国語学部英米学科に進学しました)。
大学卒業後は、メーカーの海外(貿易)部門、商社の営業マンを経て、現在の翻訳という仕事に就くことになりました。もちろん、私の英語力は、種田さんのそれにはははるか及びませんが。あのとき種田さんの『20カ国語ペラペラ 』とそこで紹介されていた『和文英訳の修行』に出会っていなかったら、私の人生は違ったものになっていたかもしれません。
カテゴリー: 4. 英語全般
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少年時代に英語をはじめとするさまざまな外国語に魅了され、次か次へと外国語をマスターし、ついに20カ国語ペラペラになった、種田 輝豊氏の語学マスターの方法と経緯を記録した本です。当時、すでに将来は英語を使って仕事がしたいと考えていた私は、夢中になってこの本を読みました。
種田さんに憧れた私は、種田さんの勉強法をそっくり真似ました。その 1 つが 500 例文暗記です。種田さんが使ったという『和文英訳の修行』という本を取り寄せ、その本の予備編に記載されていた 500 例文を徹底的に暗記しました。このとき覚えた 500 例文は、今でも半分くらいは暗誦できるほどです。重要な文法項目を網羅した 500 の例文を覚えたことによって、語彙が増え、さまざまな英語表現が身に付きました。この 500 例文暗記は私にとって大きな財産になりました(今でも十分通用する勉強法だと思います)。『和文英訳の修行』はぼろぼろになるまで使ったため、後年 2 冊目を購入することになりました。
種田さんがもう 1 つ重要視していたのが文法でした。そこで私は、これもまた種田さんが紹介していた小川芳雄先生の「よくわかる英文法」(小川芳雄著、旺文社)という高校生用の文法参考書を購入し、文法を徹底的に頭に叩き込みました。おかげで、私は中学 3 年の時点で高校 3 年間の英語の勉強をほぼ完了させていました。この本もぼろぼろになったため、後年 2 冊目を購入し今でも時々参照しています。
高校に入ると、種田さんに憧れるあまり、英語もろくにマスターしていないくせに、ドイツ語の勉強も開始しました。種田さんが、英語以外の科目の成績がさっぱりだったことにまで憧れ、英語以外の科目の勉強を放棄してしまいました。同級生からは「英語の鬼」と呼ばれたりしていました。また、担任の先生から、「英語とほかの科目の成績の差が激しすぎる」などと言われましたが、むしろそのことを誇りに思っていたほどです。
しかし、私の英語熱も高 1 の夏ごろまでしか続きませんでした。それでも、試験前になると英語の勉強だけは手を抜かなかったので、それなりの成績は収めていました。そんなこんなで遊びほうけている間にあっという間に高 3 になり、受験を迎えることになります。中 3 のときから、種田さんと同じ東京外国語大学に進学したいと思っていたのですが、私たちが受験する年から共通一時試験という制度がスタートしたのです。それまで英語以外の科目を放棄した私が、5 教科 7 科目の受験が求められる共通一時試験で高得点が期待できるはずがありません。
私は東京外国語大学の受験をあきらめ、私立大学の外国語学部を受験することにしました。ただし、国立大学への思いも捨てきれずに、大阪外国語学部のタイ・ベトナム語学科も受験しました(大阪外大には合格しましたが、最終的には私立大学の外国語学部英米学科に進学しました)。
大学卒業後は、メーカーの海外(貿易)部門、商社の営業マンを経て、現在の翻訳という仕事に就くことになりました。もちろん、私の英語力は、種田さんのそれにはははるか及びませんが。あのとき種田さんの『20カ国語ペラペラ 』とそこで紹介されていた『和文英訳の修行』に出会っていなかったら、私の人生は違ったものになっていたかもしれません。
和文英訳の修業 4訂新版 佐々木 高政 文建書房 1981-01 by G-Tools |
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